コラム

社会保障協定とは

こちらの記事は、海外から外国籍の社員を受け入れ、社会保障協定について詳しく知りたい経営者の方向けの記事です。

本記事の内容

●社会保障協定とは
●社会保障協定を結んでいる国は20か国
●日本の社会保障制度の入るかは5年が基準
●加入免除の手続き
●社会保障協定の注意点

社会保障協定について知ってほしいことをまとめました。

社会保障協定とは

社長
社長
今度、アメリカ人の社員が日本に赴任してくるんだ。日本の社会保険に加入させていいんだよね?

いえいえ、日本の社会保険に加入するとアメリカの年金と日本の年金両方支払うことになってしまいますよ!
日本の子会社や支店、駐在員事務所に外国籍の社員が赴任されて働く場合の社会保険はどうなるのでしょうか。日本の年金を払った場合、2つの問題が生じます。
ひとつは、年金の二重払いの問題、もうひとつは年金をもらう為の期間の問題です。

年金の二重払い問題

日本の年金に加入すると、派遣元国と日本の年金の両方払わなければならず、二重で負担することになっていまいます。

年金をもらう為の期間の問題

日本の年金に加入して厚生年金保険料を払っても、払い損になる可能性があります。というのも、日本の年金は10年間納めないと将来受け取ることはできないからです。そして、日本で払った期間が派遣元国の年金を払った期間とみなされないと、払い損になってしまいます。

社会保障協定は、「二重加入の防止」と「年金加入期間の通算」をするための協定

社会保障協定とは、このような派遣元国と、赴任した国での年金保険料の二重払いを防ぎ、日本で加入した期間を派遣元国の年金制度で払った扱いにするための協定書です。

社会保障協定を日本と結んでいる国は22か国(2022年5月現在)

社会保障協定を日本と結んでいる国は22か国です。

  • ドイツ
  • イギリス
  • 韓国
  • アメリカ
  • ベルギー
  • フランス
  • カナダ
  • オーストラリア
  • オランダ
  • チェコ
  • スペイン
  • アイルランド
  • ブラジル
  • スイス
  • ハンガリー
  • インド
  • ルクセンブルク
  • フィリピン
  • スロバキア
  • 中国
  • フィンランド
  • スウェーデン

日本の社会保障制度に入るかは「5年が」基準

社長
社長
日本への赴任期間は3年を予定しているらしいんだけど、日本の社会保険に入らなくていいの?

日本の年金に入るか入らないかは、5年が基準です
日本の年金に入るか入らないかは、赴任期間が5年を超えるか超えないかです。赴任期間が5年を超えない場合は母国の年金にのみ加入し、赴任期間が5年を超える場合は日本の年金に加入します。

予め赴任期間は5年以上と決まっていることは、少ないのではないかと思います。歴代の赴任者が5年、10年と長期間の場合は5年以上の赴任期間となる可能性は高いと思いますが、そうでない限りは最初から5年っていうのは少ないかと思います。あるプロジェクトを進めるために元々は3年の予定だったけれど、実際に日本でプロジェクトを進めているうちに次々と課題がでてきて3年じゃ終わりそうもない。もう3年延ばすか・・・などで結果的に5年を超えてしまうことが多いのではないかと思います。そんな時は、最初は母国の年金に加入し、5年を超える見込みで日本の年金に加入することになると思います。

加入免除の手続き

日本の年金加入を免除するためには、派遣元国の証明書が必要です。この証明書を適用証明書といいます。派遣元国の保険者窓口で発行してもらいます。発行された後、日本の年金事務所に提出します。

出典 日本年金機構

社会保障協定の注意点:国によって内容が異なる

社長
社長
じゃあ、これからも海外から日本に3年程度赴任させるときは、年金が加入免除になるんだね。

国によって、社会保障協定の内容が違うので、注意です
社会保障協定で注意する点は、国によって社会保障協定の内容が異なることです。どういうことかというと、

●年金、健康保険どちらも社会保障協定を結んでいる
●年金は社会保障協定を結んでいるが、健康保険は結んでいない
●年金・健康保険・労災保険・雇用保険も社会保障協定を結んでいる

このような場合があるからです。国によって締結している社会保障協定は違うので、日本年金機構のウェブサイトで確認しましょう。
協定を結んでいる国との協定発効時期及び対象となる社会保障制度

まとめ 海外から外国籍の社員を受け入れる→社会保障協定を思い出す

以上、社会保障協定について知っておきたいことをまとめました。日本に赴任した外国籍の社員の中には、自分の年金はどうなるのか、日本の年金を払ってどうなるのか不安に思う社員も多々います。海外から外国籍の社員を受けいれる場合は、派遣元の国と日本が社会保障協定を結んでいるかまず確認しましょう。そして、締結内容の詳細を確認しましょう。

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