コラム

駐在員事務所設立時の社会保険手続き

駐在員事務所設立時の社会保険手続きについて、こんな疑問にお答えします。

● 日本に駐在員事務所を設立予定で、社会保険手続きを知りたい
● 何の届出をしないといけないのか知りたい
● 社会保険手続き漏れがないように届出したい

本記事の内容

1. 駐在員事務所設立時の社会保険手続き 従業員数で異なります
2. 任意での社会保険加入方法
3. 労災保険と雇用保険加入の手続き
4. 注意点

1. 駐在員事務所設立時の社会保険手続き

駐在員事務所の設立時の社会保険手続きは外資系の子会社、支店を設置する場合とは異なります。どこが異なるかというと、健康保険・厚生年金保険に加入するかどうかは従業員数によって決まるということです。従業員数が5人未満の場合、健康保険・厚生年金保険の加入は任意です。つまり、入っても入らなくてもよいです。従業員数が5人以上で一定の業種の場合、強制加入です。

労働保険(労災保険、雇用保険)の加入手続きは外資系の子会社、支店を設置する場合と同じ

労災保険、雇用保険の加入手続きは外資系の子会社、支店を設置する場合と同じです。従業員を1人でも採用すれば労災保険加入する必要があります。また、週20時間以上31日を超えて採用する従業員がいれば雇用保険にも加入します。

2. 駐在員事務所設立時の社会保険手続き 任意での社会保険加入方法

健康保険・厚生年金保険の任意加入の方法について、必要な届出、添付書類を解説します。

必要な届出

  • 健康保険 新規適用届
  • 健康保険・厚生年金任意適用申請書
  • 健康保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者異動届(扶養する人がいる場合)

必要な添付書類

  • 駐在員事務所の賃貸契約書
  • 駐在員事務所代表者の世帯全員の住民票(個人番号の記載がないもの)
  • 駐在員事務所代表者の5種類(所得税、事業税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料)の領収書の写し(過去1年分)
  • 任意適用同意書

3. 駐在員事務所設立時の社会保険手続き 労災保険と雇用保険の加入手続き

労災保険と雇用保険の加入の方法について、必要な届出、添付書類を解説します

必要な届出

  • 労働保険保険関係成立届
  • 労働保険料概算申告書(労働保険成立届が受理された後に申請)
  • 雇用保険設置届(労働保険成立届が受理された後に申請)
  • 雇用保険被保険者資格取得届(雇用保険設置届と同時に提出)

必要な添付書類

  • 駐在員事務所代表者の世帯全員の住民票(個人番号の記載がないもの)
  • 労働者名簿
  • 出勤簿またはタイムカード (出勤状況がわかるもの)
  • 賃金台帳のフォーマット(給与がまだ支払われていないので、フォーマットのみで可)
  • 最寄駅から事業所までの地図
  • 給与支払い開設届控え(税務署の受付印があるもの)

4. 駐在員事務所設立時の社会保険手続き 注意点

① 駐在員事務所代表者は原則 健康保険・厚生年金保険に加入できない

駐在員事務所代表者は個人事業主扱いになるため、健康保険・厚生年金保険に原則加入することができません。例外的に、海外本社と使用関係があると証明できる書面等を提出すれば加入が認められることもあります。これは、駐在員事務所の所在地の年金事務所で判断されます。

② 従業員数は、日本の駐在員事務所単体で考える

従業員数は日本の駐在員事務所単体で考えます。外資系の親会社の人数が5人以上であっても、日本の駐在員事務所の従業員数が3人ですと健康保険・厚生年金保険の加入は任意です。

③ 社会保険の保険料支払いは銀行振り込みが大半

駐在員事務所は個人事業主扱いになるため、駐在員事務所名で銀行口座を開設できません。その為、社会保険料の支払いは銀行振り込みのみになることが大半です。

④ 任意適用同意書は必ず原本を送付

健康保険・厚生年金保険の任意での加入手続きは年金事務所の窓口に直接提出、郵送、電子申請いずれかで届け出ることができます。いずれの方法でも、任意適用同意書は原本が必要です。なので、電子申請をする場合は原本を年金事務所に郵送する必要があります。

 

5. まとめ 漏れなく届出しましょう

駐在員事務所設立時には多くのやるべきことがありますが、その中のひとつに社会保険の手続きがあります。漏れなく届出をするためにも、上記の表を参考に、手続きをしていただければと思います。
もちろん、専門家に社会保険手続きをお任せすることもできます。社会保険手続きには様々な専門知識が必要になります。そして従業員を雇用する以上、何が起こるかわからないので知るべき手続きの種類は多くなります。経営者の方が抱える膨大な業務に加えて、さらに社会保険手続きを自力で行うためのあらゆる知識をつけることや実際に手続きを行うことは、時間的に難しいこともあるかと思います。

 

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