コラム

外国人の社会保険の手続き

記事の目的

  • 外国人を雇用する際の社会保険手続きを理解すること
  • 外国人だからこその注意点を知ること

    社会保険とは

社会保険とは、労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金の4つを指します。どの社会保険も、日本で働く外国人であれば国籍を問わず、加入条件に合う人は必ず加入しなければなりません。ここでは、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金に分けて説明し、外国人だからこそ注意すべき点についても解説していきます。

社会保険① 労災保険

加入する人

労働者を1人でも使用している事業所の労働者は強制で全員加入します。個人経営の労働者が5人未満の農林水産で事業所の労働者は任意加入です。

加入しない人

労働者を1人でも使用している事業所の労働者は強制で全員加入します。個人経営の労働者が5人未満の農林水産で事業所の労働者は任意加入です。

保険料

事業の種類毎に保険料率が毎年定められており、事業主が全て負担します。

外国人だからこそ注意する点

正社員に限らず、留学生のアルバイト、日雇い、どの様な雇用形態であっても労災保険は加入が必要です。たとえ不法就労者であっても強制加入です。日本で起業した外国人、法人その他の団体の代表者や役員は、労災保険に入ることはできません。それでも仕事中にケガをすることがあり、どうしても労災保険に加入したいという声はあります。その場合は、別途「事業主の特別加入」という制度を使って労災保険に入る方法もありますので、お問い合わせください。

社会保険② 雇用保険

雇用保険とは、従業員が失業したとき、出産に伴い育児をするとき、介護をするときに、働きたくても継続が困難なときに給付される保険です。 労災保険とは違い、労働者の就労時間と雇用期間によって保険に加入するかどうかが決まります。

加入する人

労働者を1人でも使用している事業所は強制加入で、1週間20時間以上かつ31日以上雇用される労働者は加入します。

加入しない人

・1週間20時間未満の就労の人
・31日未満の雇用
・季節労働者(4か月以内)
・公務員等(離職した際の諸給与が失業給付より多い人)
・日雇い労働者のうち、適用区域外に住み、適用事業所以外に雇用されている人
・学生(夜間・通信制は除く)

保険料

事業の種類毎に保険料率が毎年定められており、事業主と労働者が負担します。

外国人だからこそ注意する点

留学生で全日制に通っている人が資格外許可を得て働くときは雇用保険に加入できません。また、ワーキングホリデーが目的で来日し在留資格が特定活動の外国人も加入できません。

社会保険③ 健康保険

健康保険とは、仕事中以外や通勤中以外の病気やケガの補償として給付される疾病保険です。この保険によって医療費が三割負担等になり、高額療養費制度等も利用できる保険です。また、40歳以上の方は健康保険料の中に介護保険料が含まれます。名前が似ていますが、全国健康保険協会の協会けんぽ、会社が独自に運営している健康保険組合、特定の企業や業種が共同で運用している保険組合、国民健康保険などがあり、自分の勤務先等によって加入する健康保険が異なります。今回は代表的な全国健康保険協会の協会けんぽについて説明します。健康保険(協会けんぽ)に加入するかどうかは、事業所の条件と労働者の条件によって決まります。

加入する人

常時5人以上の従業員がいる事業所で、条件を満たした従業員は健康保険に加入する義務があります。
 従業員の条件 その1
正社員・パートタイマー・アルバイト等の名前に関わらず、所定労働時間の4分の3以上かつ1カ月の所定労働日数の4分の3以上働いている人は加入義務があります。
 従業員の条件 その2(平成28年10月から法改正)
4分の3未満で下記の要件を全て満たす方は加入義務があります。
・週の所定労働時間が20時間以上あること
・雇用期間が1年以上見込まれること
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・学生でないこと
・常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めている事
 従業員数が常時5人未満で以下4つの業種は健康保険に任意加入になります。
・農業・牧畜業・水産養殖業・漁業
・サービス業(ホテル、旅館、理容、浴場、その他娯楽、スポーツ 保養施設などのレジャー産業)
・法務(弁護士、会計士、社会保険労務士)
・宗教(神社、寺院、教会)

加入しない人

・会社が独自に運営している健康保険組合に加入している人
・特定の企業や業種が共同で運用している保険組合に加入している人
・船員保険に加入している人
・日雇い労働者の人
・2か月以内の期間を定めた臨時に使用される人
・4か月以内の季節的業務に使用される人
・6か月以内の臨時的事業の事業所に使用される人
・業所または事務所で所在地が一定しない者に使用される人
・国民健康保険組合の事業所に使用される人
・後期高齢者医療対象(75歳以上または65歳~74歳で一定の障害認定された人)
・保険者または共済組合の承認を受けた人
基本的にどの健康保険にも加入しない人はいません。何かしらの健康保険に加入します。
適用事業所以外(健康保険に加入しない事業所)の従業員や、協会けんぽに加入しない人、会社の健康保険組合等に加入しない人は、国民健康保険に加入します。

保険料

全国健康保険協会の協会けんぽ平成30年4月分(5月納付分)の保険料率は9.9%、介護保険を含めた保険料率は11.47%で事業主と労働者で折半します 。

外国人だからこそ注意する点

健康保険証の不正利用が問題となっております。健康保険証を他人に貸してはいけません。

社会保険④ 厚生年金保険

厚生年金とは、年をとったとき・病気やケガで働けなくなったとき・死亡したときに給付される保険です。加入条件は、健康保険の人と同じです。
厚生年金に加入する人
健康保険と条件は同じです。

加入する人

健康保険と条件は同じです。

加入しない人

健康保険と条件は同じです。

保険料

厚生年金の平成29年9月分(10月納付分)からの保険料率は18.3%で、事業主と労働者で9.15%ずつ折半します。

外国人だからこそ注意する点

加入条件を満たす外国人労働者は、原則日本の厚生年金に加入しますが、例外があります。社会保障協定を結んでいる国の出身者で、5年を超えない見込みで海外の親・子会社などから転勤で赴任してくる外国人は、健康保険・厚生年金に加入するのか注意が必要です。なぜなら、5年を超えない見込みで赴任してくる場合、引き続き海外の厚生年金のみに加入し、日本の厚生年金の加入は免除になるからです。
社会保障協定は、母国の社会保障制度と日本の社会保障制度の二重負担を防止するために、一部の国との間で締結しています。さらに一部の国との間では、年金保険料が掛け捨てとならないように、日本での年金加入期間を母国の加入期間に通算して年金を受給できる制度になっています。社会保障協定は、21カ国と協定が発効しています。(2022年3月現在)
厚生年金は条件を満たしていれば加入することが義務となりますが、将来の受給金額が増えるだけでなく、病気や事故などで障害が残ったとき、死亡したときに年金を多くもらうことができます。
帰国するときに払った年金の一部が返ってくる脱退一時金があります。 厚生年金保険への加入期間が6ヵ月以上の外国人労働者が帰国する場合、帰国後に脱退一時金の支給を請求することができます。 脱退一時金の請求について詳しいことは、お問い合わせください。

これから外国人を雇用する企業の方はお電話またはメールにてご相談ください。

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