コラム

事例 オランダ在住の日本人を雇用し続けるとき

記事の目的

オランダ在住の日本人を雇用するときの社会保険の留意点を理解すること

テレワークが普及し、海外に住んでいる日本人を雇用したいまたは配偶者の海外赴任の帯同で海外に行くが働き続けてほしいという企業からの問い合わせが増えております。海外在住の日本人雇用(以下、「越境テレワーク」)については法的な整備がなく、厚生労働省からの通達がない現状です。そこで、弊所であった一例を紹介します。管轄の年金事務所や労基署、ハローワークによって見解が異なる部分があるので、実務上は確認しながら進めていきます。

1. オランダ在住の人の雇用

オランダ在住の人を雇用するとは、オランダの自宅からテレワークで日本の企業で働く従業員です。オランダに事業所があり、日本の企業から赴任の命を受けて駐在する人はここでは含まれていません。海外にいながらも日本の法人に雇用され、日本の企業から給与が支給されます。
弊所の事例では、配偶者の帯同でオランダに移住するがオランダの自宅からテレワークをし、日本の企業で働き続ける従業員です。

2. 日本の健康保険・厚生年金保険

オランダ在住であっても、週に30時間以上勤務する場合は健康保険・厚生年金保険に加入をします。日本法人からの支払いで日本円で支払う場合はその報酬で保険料が決まり、海外の現地の通貨で支払う場合は資格取得日のTTB終値の為替で計算して保険料を決定します。

3. 日蘭社会保障協定は対象ではない

オランダと日本は社会保障協定を結んでいます。そのため、申請をすれば日本の社会保険とオランダの社会保険の両方に加入し、保険料を二重払いになることがありません。
年金事務所ウェブサイト「協定を結んでいる国との協定発効時期および対象となる社会保障制度

しかし、越境テレワークの従業員はオランダに事業所がないため記事執筆時点では社会保障協定の対象ではありません。
そのため、オランダの健康保険や年金に加入する要件に満たした場合は、保険料はかかりますがオランダの健康保険や年金に加入することになります。

4. オランダの健康保険・年金

オランダの健康保険はホームドクター制で、病気や怪我をしたときまずは自分が登録したホームドクターに診てもらいます。民間の保険会社から選択します。オランダの市役所で住民登録をすると、後日に健康保険の情報が届き、自分が加入対象なのかどうか確認した上で、加入する必要があれば加入をします。また、オランダの年金は日本とは違い、社会保障税という税金として徴収されます。
オランダの健康保険や年金に加入する必要があるのかどうか個別の事情により異なってくるため、弊所ではオランダに問い合わせをしました。

5. 雇用保険

海外在住の人は雇用保険に入らないという、行政手引があります。越境テレワークをする従業員は、雇用保険を喪失する手続きが必要なのか、それとも加入継続するか弊所ではハローワークに問い合わせました。個別の事情により異なりますが、加入継続できる可能性があるため、ハローワークと調整することが必要な部分です。

雇用保険業務取扱要領(行政手引)
ニ 国外で就労する者
b その者が日本国の領域外にある適用事業主の支店、出張所等に転勤した場合には、被保険者となる。現地で採用される者は、国籍のいかんにかかわらず被保険者とならない。

6. 労災保険

労災保険も個別の事情により異なり、労災保険を加入継続するか労基署との調整をします。

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